Microsoftが教育機関向けの無料プラン「Office 365 A1」を2028年1月1日に廃止することが分かり、大学や学校関係者の間で悲鳴が上がっている。後継とされる無料プラン「A0」にはメールもファイル共有もTeamsも含まれず、教育機関に標準で付与されてきた基本100TBの共有ストレージまで撤廃される。教職員500人が有料のA2(1人50GB)を契約する構成では、共有容量は100TBから約25TBへと4分の1に激減する計算で、「無料で囲っておいて有料化する常套手段だ」と批判が噴出している。
発端は、テックニュースを扱う「情報の灯台」が11月6日に投稿したまとめだった。投稿は82万回以上表示され、600回近くリポストされるなど大きく拡散している。
教育機関が無料で使ってきたOffice 365 A1が2028年1月1日に廃止される
代わりに用意される無料プランA0にはメール(Exchange Online)もSharePointもTeamsも含まれないOfficeアプリは使えるが大学の授業や共同作業を支えてきた基盤は有料ライセンスに移る。…
— 情報の灯台 (@joho_no_todai) 2026年11月6日
消えるのはA1だけではない。Microsoftが現地時間11月5日に発表したMicrosoft 365 Educationの再編では、学校側の契約に連動して学生が使えた「Student Use Benefit」と、卒業生向けの無料Exchange Online(メール)も、同じ2028年1月1日に終了する。A1の販売終了はすでに始まっており、Web直販では発表当日の11月5日に終了、パートナー経由の販売も2027年5月1日で止まる。契約期間が残っている教育機関は当面使えるが、更新のタイミングで新プランへの移行を迫られる。
問題視されているのが、無料プランA0の中身である。A0で使えるのはOfficeアプリやMinecraft Educationなどで、Exchange Online(メール)、SharePoint Online(ファイル共有)、Teamsは含まれない。授業の連絡、課題の共有、オンライン授業といった、大学の日常を支えてきた基盤が無料枠から丸ごと外れる形だ。しかもA0を使うには、教職員全員に有料のA2以上のライセンスを契約していることや、学生がWindows端末を実際に使っていることといった条件まで付く。学生にメールやTeamsを使わせ続けるなら、学生分の有料ライセンスも別途必要になる。
現場からの反応は厳しい。大学関係者とみられるアカウントからは「全国のMicrosoft 365導入済み大学が悲鳴をあげる」「集団訴訟のレベルではないか」という声や、富山大学の教員を名乗るアカウントから「こういう商売、法律で禁じてほしい」「うちの大学も全面的にMicrosoftに依存しているから心配だ」という投稿が出ている。ネット上でも「無料で囲っておいて、いざ有料にすれば使わざるを得ないという長期戦略だったのでは」「ExchangeとTeamsを突然課金制にするのは酷すぎる」といった批判が相次いだ。
ストレージの削減も直撃する。新しい方式では容量は有料ライセンスの種類と数で決まり、1人あたりの容量は学生がA2で4GB、A3で8GB、A5・A7で12GB、教職員がA2で50GB、A3で75GB、A5・A7で150GBとなる。無料のA0は容量を一切生まないのに、利用者は共有プールから容量を消費する。教職員500人・学生は無料A0という構成ではプールは約25TBしか確保できず、従来より75TBも減る。足りない分は10TB単位の追加容量を買うか、上位プランに上げるしかない。「100TBがなくなるのは、そもそも優遇されてきた小規模校ほど影響が大きい」という指摘も出ている。
対抗馬として名前が挙がるのがGoogle Workspaceで、「これを機に乗り換える機関が増えるのでは」という声も多い。一方で、iPadやChromebookを教育端末の中心に据えてきた自治体・学校では、Windows利用が条件のA0はそもそも使いにくく、端末政策ごと見直しを迫られかねないという見方もある。かといって乗り換え先のGoogleも、過去に教育向けストレージの無制限提供を終了した経緯があり、「どこに移っても同じことが起こるのでは」という冷めた声も少なくない。
なお、変更が一斉に適用されるわけではない。新しい体系とストレージモデルは、2028年1月1日以降に迎える最初の契約更新・延長のタイミングから適用される。Microsoftは各機関に契約満了日の確認と、現在のライセンス・ストレージ使用量の棚卸しを呼びかけている。裏を返せば、予算の乏しい教育機関ほど、限られた期間で「誰にどの有料ライセンスを割り当てるか」「何TBのデータを削るか」という重い判断を迫られることになる。発表から適用まで約1年あまり、学校の情シス担当者の阿鼻叫喚はしばらく続きそうだ。
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