PCの平均単価が1カ月で3割以上上がった、というなかなか胃にくる数字が出ています。PC WatchがJEITAの国内PC出荷統計をもとに報じたもので、2026年4月の国内PC全体の平均単価は13万9,821円。2026年3月の10万3,458円から35%上昇したとのこと。買い替えを先延ばししていた人からすると、「今それ言う?」というタイミングです。

ノートPCだけで見ても、2026年4月の平均単価は13万8,008円で、2026年3月の10万874円から37%上昇。数字だけ見ると、昨日まで普通のノートPCだったものが、急に「ちょっとした覚悟が必要な買い物」へ進化した感じがあります。ネットで「買い時どこ行った」「Windows 10終了前にこれはキツい」となるのも、かなり分かる流れです。
ただし、ここは少し注意が必要です。PC Watchでも触れられている通り、2026年3月には5万5,000円で整備されるGIGAスクール向けPCの出荷がかなり含まれており、3月の平均単価が下振れしていた面があります。つまり、店頭の全PCがある日いきなり35%値上げされた、という単純な話ではありません。
とはいえ、そこで安心できるかというと、それもまた違うのがつらいところ。GIGAスクール向けが基本的に含まれない「ノート型・その他」で比較しても、2026年4月の平均単価は14万8,473円で、2026年3月の11万865円から34%上昇しています。補正してもまだ3割台。言い訳を探しに行ったら、別ルートから同じパンチが飛んできたみたいな数字です。
さらに出荷台数も冷えています。JEITAの2026年4月統計では、国内PC全体の出荷台数は56万台で、前年同月比87.3%。つまり12.7%減。デスクトップPCは6万8,000台で前年比73.3%、ノートPCは49万2,000台で前年比89.6%でした。台数は減っているのに、出荷金額は783億円で前年比98.4%。売れている数は落ちたのに、金額はそこまで落ちない。高くなっている感覚が数字でもかなり露骨です。
背景として挙げられているのは、AI PCの普及や部材高騰、メモリやSSDの価格上昇、AI対応のためのCPUやメモリ容量アップなど。要するに、PC本体が「昔よりちょっと良くなったから高い」だけではなく、部材側からもじわじわ首を絞められている状態です。自作PC民が「メモリとSSDが高いなら逃げ場がない」となるのも、このへんが理由でしょう。
PC Watchによると、あるPCメーカーでは2026年4月に数%から30%の値上げを実施し、平均すると20%前後の値上げ率になったとのこと。とくにメモリやSSDが大容量の上位モデルほど値上げ率が高い傾向だとされています。ハイスペック機を狙っていた人ほど被弾しやすい。ゲーミングPC、動画編集用PC、AIローカル実験用PCあたりは、財布にかなり現実を突きつけてきます。
ネットの反応も、単なる「高い」だけではなく、「Windows 10のサポート終了に合わせて買い替えようと思っていたらこれ」「会社PCの調達担当が泣くやつ」「中古や型落ちで粘るしかない」といった方向に広がっています。個人の趣味PCだけならまだ我慢できますが、仕事用や学校用となると、買わないわけにもいかないのが嫌なところです。
しかも今回きついのは、値上げと需要の反動が同時に来ている点です。2025年度はWindows 10サポート終了前の買い替えやGIGAスクール需要で数字が大きく動いていましたが、その反動が出る時期に入ると、台数は伸びにくい。一方で部材高騰やAI PC化で単価は下がりにくい。買う側からすると、セールを待っていたら売れ筋構成だけ妙に高い、みたいな状況になりやすいわけです。
BCN総研も、2026年4月は台数が2ケタ減だった一方で金額はほぼ前年並みにとどまり、高単価化が鮮明だと整理しています。ノートPCは台数が前年比89.6%なのに、出荷金額は101.7%。要するに、台数が減っても金額だけはむしろ前年超え。これはもう「売れてないから安くなるはず」という素朴な期待を、統計が正面から折りに来ています。
もちろん、平均単価は出荷構成に左右されます。安い教育向けが減って、法人向けや高スペック機の比率が上がれば、それだけでも平均は上がります。なので、この数字だけで「全部のPCが地獄値上げ」と言い切るのは雑です。ただ、メモリやSSDの高騰、メーカー値上げ、AI PCの高単価化まで重なっている以上、「ただの統計マジックでした」と流すのも無理があります。
買う側の反応としては、「去年感覚の予算では厳しい」「型落ちや中古まで選択肢に入る」「仕事用PCの見積もりが普通に怖い」あたりに落ち着きそうです。派手に“PC業界終了”と叫びたくなる数字ですが、実際には買い替えタイミングを逃した人ほど静かにダメージを受けるタイプの話ですね。

