テレビ朝日が11月4日に放送した特番『徹子&純次&良純 世界のニュース衝撃映像の会』で、「世界最大のニワトリ」として紹介した画像が、生成AIで作られた偽物だったことが分かった。実在する品種の愛好家が放送翌日にXで「完璧な偽物です」と指摘して発覚したもので、テレビ局がAIの偽物を見抜けないまま、ゴールデンタイムにそのまま流してしまった形だ。
番組は黒柳徹子、高田純次、石原良純がMCを務める2時間特番で、11月4日よる7時からテレビ朝日系24局で放送された。「衝撃!世界不思議アニマル」のコーナーでは「ブラジルに生息するスマートな世界最大のニワトリ」として、人の背丈に迫る巨体のニワトリが紹介されていた。テレビ朝日の公式情報サイト「テレ朝POST」の放送前記事にも、この紹介文がそのまま載っている。
騒ぎの発端は、ニワトリ愛好家として知られるXユーザーのナンシー・Onagadori氏の投稿だった。11月5日、知人からテレビ朝日で放送されたと連絡を受けた同氏は、画像を確認して「AIです」「完璧な偽物です」と即座に断定した。
AIです。
先ほど、知り合いから、テレビ朝日で放送されたと連絡もらいました。
完璧な偽物です。 https://t.co/rx87aGri2r— ナンシー・Onagadori (@Nancy65094154) 2026年11月5日
同氏は続けて、本物のインディオ・ギガンテの写真も投稿した。「大軍鶏の身体に、大和軍鶏の顔を持った鶏と思ってください」という説明つきで、放送された画像との違いを示している。
こちらが、インディオ・ギガンテです。
海外のインディオ・ギガンテ愛好家のfacebookのグループ画像から参照させていただきました。
大軍鶏の身体に、大和軍鶏の顔を持った鶏と思ってください。— ナンシー・Onagadori (@Nancy65094154) 2026年11月5日
これは、AI画像ではありません😁 本物です🤣
— ナンシー・Onagadori (@Nancy65094154) 2026年11月5日
インディオ・ギガンテはブラジル原産の実在の品種で、世界最大級のニワトリとされること自体は事実だ。ただし実際の大きさは、雄で全長90cm超が標準的で、体を伸ばして測れば1mを超える個体もいるという程度で、立った姿勢で人間の背丈に迫るような個体は存在しない。海外の飼育業者の資料でも、雄は36インチ(約91cm)超、雌は30インチ(約76cm)前後とされている。放送画像の巨体は、この実物とはかけ離れている。
Xでは呆れる声が相次いだ。実際に番組を見ていた視聴者からも「明らかに変だと思った」という声や、「BPOに連絡しなきゃ」という声まで上がっている。
テレビまで生成AIを本物と思って放送したってコト?
情報汚染極まってきたな。— 絵描キノ裏 (@kinoura10000) 2026年11月5日
これ見てたけど明らかに変だよなって思ったら通りで…
— 香風邪悪の王元レモぬいのキラ (@GOLDSUUMOnnnj) 2026年11月5日
BPOに連絡しなきゃ…。テレビで嘘を流すなんて
— ニャホニャホ (@o_y7i) 2026年11月5日
皮肉なのは、テレビ朝日がAIの偽情報対策を自ら掲げていたことだ。テレビ朝日ホールディングスは2025年10月、国内のテレビ局として初めて「AIポリシー」を公表し、基本原則の筆頭で「偽情報や誤情報の生成・拡散を防ぐための最大限の努力を払い、情報の信頼性確保に努めます」と明記している。さらにNHK放送文化研究所の取材に対しては、事実をそのまま見せる目的の映像ではAI生成の画像・動画を原則として使わない、という自社のガイドラインまで説明していた。
現時点で、テレビ朝日からこの件についての訂正や謝罪は確認できていない。11月5日にはフジテレビが全ドラマへの生成AI導入を発表して物議を醸したばかりで、テレビ局とAIをめぐる騒動が続いている。AIの偽情報を見抜く側のはずのテレビが、自社の放送でAIの偽物に騙されていたとなれば、視聴者の目はさらに厳しくなりそうだ。




