日本ハムグループ傘下の食品メーカーであるニッポンハムは、2026 年 10 月 5 日、主力商品である「シャウエッセン」の内容量変更を発表した。この発表は、同社の公式 Twitter アカウントを通じて行われたが、「時代に負けてたまるか」という強烈なキャッチコピーを掲げた予告広告から始まったキャンペーンの一環として展開されたものであった。結果的に、消費者からは「内容量が減る」という事実と「時代をリードする」というメッセージの間に大きなギャップを感じられ、SNS 上で批判が殺到するという事態に発展した。
発表の詳細は以下の通りである。従来の 117g×2 パックから、107g×2 パックへと変更される予定だ。参考小売価格は 702 円(税込)で据え置きとなっているため、実質的な値上げとなる。具体的には、1 本あたりの重量を増やし、6 本入りから 5 本入りになるケースが想定されている。この変更の主な理由は、原材料・包装・物流・エネルギーコストの上昇によるものであり、実質的な値上げは 2022 年 10 月以来となる。
同日の読売新聞朝刊には、「時代に負けてたまるか。」というキャッチコピーを大きく掲げた広告が掲載された。また、新 CM「ばつつんぱっつん」篇の放映も開始されている。前日の 4 日夕方には、公式 Twitter アカウントで「隠さず、正直に話します。時代に負けてたまるか。」と予告し、表示数は約 766 万回に達した。そして 5 日朝の本発表では、「内容量が減ります」と明記したうえで同じコピーを掲げ、表示数は約 517 万回、引用数は 2100 件超、返信数は 900 件超という反応を引き起こした。
このキャンペーンに対する消費者の反応は、当初は期待に満ちていたが、発表内容が明らかになると批判へと転じた。「こんだけ煽っていて内容量 1 本減るとか普通に時代に負けてる」「家族で食うのに 6 本から 5 本になったら分けにくくて不便」「値上げじゃダメだったのか?」といった声が SNS 上で溢れた。料理研究家のリュウジ氏は、これらの批判の要点を整理したうえで画像付き投稿を行い、いいね数は 7700 超、表示数は 94 万超に達している。
広告業界の関係者からも厳しい目が向けられた。「時代に負けてたまるか。」というコピーを掲げ、内容量は減っても品質や味にこだわり続けることを宣言したが、消費者の目には、内容量の減少というネガティブなニュースを隠すように綺麗事を発信しているように映る。強い言葉を使っているだけ実態との乖離が目立つと指摘された。原材料の高騰により商品内容を減らすという事実だけを伝えれば炎上にはならなかっただろうと、広告きゅん氏はコメントしている。
さらに、「時代に負けてたまるか」は、内容量も価格もポストアップ時に使えるのであって、むしろ「内容量を減らし、実質的に値上げします」とはっきり書いたほうがインフレに一種の詐欺感はない好印象だったかもという意見もある。とイメージション氏によれば、このコピーは本来、ポジティブな変化や向上を伝える際に使うべき言葉であり、ネガティブな事実を伝える際には不適切であったと言える。
消費者にとっては、「シャウエッセン」というブランドへの信頼が揺らぐこととなった。過去にコンビニのソーセージが 100g から 80g になってレシピの味が変わってしまったことがあると指摘する者もおり、今回はさらに深刻な影響を与える可能性がある。価格高騰は仕方ないという売り方を変えるべきではあるが、値上げの選択肢もあったのかと思わせる内容であり、消費者への説明責任を果たせなかったとの批判が強まっている。
今後の展開として、ニッポンハムはどのように対応していくかが注目されている。単に「時代の変化」という抽象的な理由を挙げるだけでなく、具体的なコスト増の要因や、価格据え置きによるメリットを明確に伝える必要があるだろう。また、「時代に負けてたまるか」というコピーが示すような、消費者への誠実な姿勢を見せるための施策も求められる。
総じて、このキャンペーンは広告戦略としての意図は明確であったが、消費者心理とのズレが大きかったと言える。「時代」をリードする企業として振る舞うのであれば、内容量の減少という事実よりも、品質や味の向上など消費者にとってメリットのある変化を強調すべきだったのではないか。結果的に、「時代に負けてたまるか」という言葉自体が、消費者からの批判の象徴となってしまったのである。
