「今のPCが壊れたら詰む」というつぶやきがネットに流れている。冗談めかした言葉だが、Micron CEOの最近の発言を読むと、笑えなくなってくる。
Micronは2026年度Q2の決算で、売上238.6億ドル、GAAP純利益137.85億ドル、営業キャッシュフロー119.0億ドルを発表。売上・粗利率・EPS・フリーキャッシュフローのすべてで新記録だという。CEOは「AI時代においてメモリは戦略的資産になった」と語り、決算後のCNBCインタビューではこう続けた。「AIはまだファーストイニングにいる」。
このひと言が、PCユーザーにとって重く響く。
問題は、今のメモリ不足がGPUに積むHBM(高帯域幅メモリ)だけの話ではなくなっているという点だ。生成AIから推論・エージェント型AIへと用途が広がるにつれ、データセンター内のGPU対CPU比率が従来の8:1から4:1へ縮まり、将来的には1:1に近づくという見方も出ている。AI処理に使うCPUが増えれば、そちらに積む一般的なDDR5メモリも大量に要る。AI向けCPUに300〜400GBを搭載する計画が報じられており、現行の96〜256GBからの大幅増が視野に入っている。
GPU側は桁がさらに上がる。NVIDIA Vera RubinはHBM 288GB、AMD MI400は432GB、Google TPU 8iは288GB級とされる。これほどのHBM需要があれば、半導体メーカーが生産ラインをどこに向けるか、ほぼ自然に決まってくる。
Samsungは今年、LPDDR4/LPDDR4Xの生産終了を発表し、LPDDR5やHBMなど高付加価値品への集約を進めている。2027年にかけて需給ギャップがさらに悪化するとの見通しも同社は示している。さらに、Samsungの労働組合が18日間のストライキを計画しているという報道があり、実施された場合はDRAMで約3〜4%、NANDで約2〜3%の供給下振れリスクが生じるとの試算も出ている。ただし、これはあくまで報道ベースの見込みで、実際の影響は今後の状況次第だ。
Micron自身も消費者向けの現状について、供給制約と価格上昇によりPC・モバイルの出荷台数が低二桁のマイナスになり得ると見ている。一方で、ローカルAIをこなすPCでは32GBが選ばれ始めているとも述べており、メモリへの要求水準は上がっているが、供給は追いついていないという構図が続いている。
「自作PCどころかメーカー製PCも終わりだ」「AIがいくら進化しても、使う端末がなければ意味がない」という皮肉が広がるのは、こうした需給の構図が一般ユーザーにも見えてきたからだろう。「メモリ一枚10万円になる」という半笑いの予想、「32GBでも足りなくなって64GBへ」という声、SO-DIMMの在庫を手放さないようにしようという動きまで出ている。
AI向けDRAM/NAND需要が今年中に業界TAMの50%を超えると予測される中、PC向けの廉価なメモリが後回しになるのでは、という不安はそこに根がある。Micron CEOが「まだ序盤戦」と言う以上、この供給ひっ迫がすぐに解消されるとは考えにくい状況だ。
参照元リンク
- https://investors.micron.com/news-releases/news-release-details/micron-technology-inc-reports-results-second-quarter-fiscal-2026
- https://wccftech.com/micron-ceo-warns-ai-is-only-in-the-first-innings-memory-supply-tightens-dram-nand-demand/
- https://wccftech.com/agentic-ai-pushes-cpus-to-pack-400-gb-of-memory-4x-more-than-today/
- https://technews.tw/2026/04/28/samsung-18-day-strike/
- https://wccftech.com/samsung-officially-discontinues-lpddr4-memory-sees-50x-profit-jump-expects-memory-shortages-to-get-worse-in-2027/

